疲れが取れない?やってはいけない糖質制限ダイエットと成功の秘訣

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お肉を食べてもいいダイエット」「1ヶ月で5キロ痩せた!」など、驚くほど簡単に痩せられるとして爆発的に人気になった「糖質制限ダイエット」。ダイエットを考えたことがある人なら、誰でも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

しかしこの「糖質制限ダイエット」、一歩間違えると命を危険にさらす可能性があるんです。

今回は、正しい糖質制限ダイエットのやり方についてご紹介します。

糖質制限ダイエットとは

糖質制限ダイエットは、言葉通り「糖質を制限するダイエット」です。「炭水化物抜きダイエット」とも言われています。炭水化物とは「糖質+食物繊維」のことですが、炭水化物抜きダイエット中でも食物繊維は摂取しなければならないので、「糖質制限ダイエット」が正しい呼び方であると言えます。

どうして糖質をとると太るのか

どうして糖質をとると太るのでしょうか? 糖質が身体の中でどうなっていくかについてご説明します。

  1. 糖質をとると血糖値が上がる
    … 糖質は体内でブドウ糖になり、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が上がります。
  2. 血糖値が上がるとインスリンが分泌される
    … ブドウ糖は脳の活動等に必要ですが、濃度が高すぎると害になるので、血糖値を下げるためにインスリンが分泌されます。
  3. インスリンがブドウ糖を中性脂肪に変え、脂肪細胞に蓄える
    … 必要以上に食べ過ぎた糖質は脂肪になります。これが太る原因なのです!
  4. インスリンはすでにある脂肪の代謝を抑制
    … インスリンは脂質を脂肪に変えるだけでなく、すでにある脂肪の代謝を抑制します。基礎代謝が低下して、痩せにくい体質になってしまうのです。

極端な話、「糖質さえとらなければいっぱい食べても太ることはない」ということです。

また、糖質の多い食事をとり続けると太ってしまうだけでなく、糖尿病、メタボリック症候群や認知症、ガンなど多くの病気の発生率を高めると言われています。食生活の欧米化で、基本的に糖質を摂り過ぎている人が多く、若い世代でも糖尿病・高血圧症・動脈硬化などになってしまう方が多くなってきたのが現状です。健康のためにもある程度糖質を制限することは重要なんですね。

「糖質 = 悪」ではない! まったく摂らないのは危険

糖質が太る原因なのは間違いないのですが、だからといって「糖質をまったく摂らないで早く痩せよう!」というのは危険な考え方です。

タンパク質・脂質・炭水化物は三大栄養素と言われており、炭水化物(糖質)は、全身に酸素を運ぶ赤血球のエネルギー源となったり、脳の働きを助けたりする、生命を維持するためには欠かせない栄養素なんです。

糖質が足りないと起こること

  • エネルギー不足
  • 疲労感・倦怠感
  • 集中力の欠如
  • 運動能力の低下

疲れると甘いものが食べたくなるのは、体がエネルギーとなる糖質を必要としているから。
つまり、糖質をまったくとらない!という極端なやり方ではダメなんです。最低限は摂取することが重要です。

厳しい糖質制限による「エネルギー不足」が疲れやすい体をつくる

糖質制限ダイエットをしているので主食は食べない」といったように、体重が気になる人は、まず炭水化物を減らすということから始めることが多いようです。

しかし、主食である炭水化物はエネルギー源となる栄養素の1つで、車で言うガソリンのようなもの。ガソリンがなければ車を動かせませんよね。同じように人間も炭水化物がなければ身体を動かすことができません。

元気よく過ごすためには、活動量に見合ったエネルギーを適切なエネルギー源からとれていることが必要です。いつも疲れている人、疲れが取れない人は、エネルギーが不足していることが疑われます。

人はストレスがかかると、それに対抗するためにエネルギーを多く使います。ストレスが多いときに食べすぎてしまうのは、身体がストレスに対抗するのに使うエネルギーを欲しているからです。適切なエネルギー補給をしないと、ますます疲れが溜まってしまいます。

炭水化物と糖質の違いとは?

炭水化物」は、体内で消化吸収されエネルギー源となる「糖質」と、ヒトの消化酵素では消化されにくく、エネルギーとして利用できない「食物繊維」で構成されています。

  • 炭水化物=糖質+食物繊維

糖質」は、分子が1つの「単糖類」、単糖類が2つつながった「二糖類」、単糖類がたくさんつながった「多糖類」に分類され、多糖類 < 二糖類 < 単糖類 の順に、吸収されるスピードが速くなり、単糖類がもっとも早く吸収されます。

単糖類の代表的なものは「ブドウ糖」です。砂糖に含まれる「ショ糖」や、乳製品に含まれる「乳糖」は二糖類、ごはんやパンなどの穀類に含まれる「でんぷん」は多糖類です。

食物繊維は、エネルギー源にはなりませんが、糖質や脂肪の吸収を抑えたり、腸内の有害物質の排出を助けます。

でんぷんと砂糖の血糖値の上がり方の違い

ごはんやパンなどの穀類は、ゆっくり吸収される多糖類であるのと、糖質の吸収を穏やかにする食物繊維の働きで、血糖値がゆっくり上がります。するとエネルギーが持続しやすいため、疲労感を覚えにくくなります。

一方、砂糖を使ったお菓子やジュース、菓子パンなどは、血糖値が急激に上がるため、それを下げようとするホルモン(インスリン)が分泌されて、血糖値が一気に下がります。そのため、エネルギーが持続しにくく、疲労感が出やすいのです。

疲れやすい人は甘い炭水化物をよく食べている

疲れやすい人は、糖質が多く、食物繊維の少ない炭水化物をよく食べていることが多いです。お菓子や菓子パンを食事代わりにして、食パンでも、ふわふわのやわらかいパンに、ジャムやはちみつをたっぷりぬったものを食べているパターンが多いようです。ふわふわのやわらかいパンは、生地にも砂糖を使っていることが多いので、血糖値が急激に上がりやすいです。

反対に、いつも元気で疲れにくい人は、食物繊維が多く含まれる炭水化物をよく食べていることが多いです。多くが、ごはんでも雑穀や玄米などを混ぜたごはんを食べています。雑穀や玄米は、白米より食物繊維が多く、血糖値が緩やかに上がり、エネルギーが持続しやすいです。

炭水化物をエネルギーに変えるにはビタミンB群が必須

炭水化物をエネルギーにするためには、主にビタミンB1やB2、ナイアシンなどのビタミンB群が必要です。これらのビタミンが不足すると、体内で炭水化物をエネルギーにしにくく、ガス欠を起こしやすい状態になります。

ごはんやパンなどの穀類は糖質だけでなく、食物繊維、ビタミン、ミネラルを含んでいますが、砂糖は糖質以外はほとんど含んでいません。雑穀や玄米は、白米に比べるとビタミンB群が多く、体内でのエネルギー効率が良くなります。逆に砂糖をたくさんとると、体内のビタミンB群を消耗してしまい、疲れやすくなってしまいます。

元気でいるためには、長持ちするエネルギー源と、それをうまく体内で活用する栄養素を一緒にとることが大切です。パンよりごはんがおすすめですが、パンが好きな人は、ライ麦パンや胚芽パンを選ぶか、野菜のおかずや豆腐、納豆、わかめスープなど、食物繊維の多い食品を一緒に食べましょう。

糖質制限ダイエットの正しいやり方

  1. 糖質は1日100g以下に抑えましょう(できれば最初の2週間は1日50g以下に)
  2. 通常の食事量の範囲を超えて食べ過ぎないようにしましょう
  3. タンパク質をしっかり摂りましょう
  4. 適度な運動をしましょう
  5. 規則正しい生活をしましょう

糖質制限ダイエットは、糖質を「制限」するだけであって、糖質を「摂らない」わけではありません。最低限の糖質は生きていく上で必要です。1日に摂取する糖質を「100g以内」におさめるように意識しましょう。

無理をしてはいけないのはもちろんですが、逆にタンパク質ならいくら食べてもいいというわけでもありません。必要以上に食べ過ぎないようにしましょう。

また、目標体重になったからといってすぐにやめるとリバウンドしてしまいます。ダイエットは、健康で無理なくずっと続けられることが一番です。

糖質制限ダイエットで控えるもの

  • ご飯やパン、めん類(半人前程度に)
  • かぼちゃやいも類、くりなど糖質が多い食材を使ったおかず
  • 片栗粉や小麦粉(あんかけや揚げ物、カレー、シチューのルーに注意)
  • 菓子や甘い飲料
  • 味つけの砂糖やみりん

やってはいけない糖質制限ダイエット3パターン

1.制限するのは糖質だけ! カロリー制限はしてはいけない

糖質制限は、エネルギー摂取制限ではありません。適正な食事量であれば、制限するのは糖質だけで、体内に取り入れるエネルギーの量は減らしてはいけません。

なぜ摂取エネルギーを減らさなくても痩せるのかというと、全身の代謝が大幅に改善するからです。「成人男性なら1600kcal/日」といった、ダイエットのための摂取カロリーの目安は、炭水化物を主食として摂取している場合が想定されています。つまり、食事ごとにインスリンが大量に分泌され、体がエネルギー蓄積モードになっているから、カロリーを制限しなくてはならないということなのです。

糖質さえ制限すれば、代謝を抑制してしまうインスリンの分泌が減り、糖新生(代謝の一種)が活発に行われるようになり、通常の量の食事をしていても痩せていきます。代謝が大幅に改善するのにも関わらず、摂取カロリーまで制限してしまったら、エネルギー不足、あるいは栄養失調状態になってしまいます。

2.野菜中心の食事はやってはいけない

早く痩せたいからといって、野菜ばかりを食べるのも、実は問題があります。

糖質の役割は、脳の活動エネルギーとなるブドウ糖を供給することです。糖質の摂取を減らせば、当然ブドウ糖の外部からの供給が減ることになりますが、野菜ではほとんど補えません。足りない分のブドウ糖は、体内で「糖新生」によって作り出します。「糖新生」は、不足したブドウ糖を補うために、脂質、アミノ酸、乳酸など、糖質以外の物質を使ってエネルギー源を作り出すシステムです。これによって、体脂肪が減り、痩せていくのです。

つまり、糖質の摂取を減らせば、糖新生によってエネルギーとして使うためのタンパク質や脂質が、今までよりも多く必要となります。その状態で、タンパク質や脂質の摂取量まで減らしてしまうと、ブドウ糖の供給が充分にできずに低血糖、倦怠感、疲れやすくなる等、様々な問題が発生する可能性があります。

糖質制限をするのなら、肉や脂っこいものを避ける必要はありません。糖質を減らした分を補うという意識で、積極的に食べるようにしてください。

3.急激な糖質制限はやってはいけない

人間の体は環境の変化に順応するまでに、多少の時間がかかります。糖質制限の場合も同じで、ブドウ糖の供給をほとんどすべて外部(主食の炭水化物)に頼っていたところで、急に糖質が一切入ってこなくなれば、糖新生が思うように働いてくれない可能性があります。疲れが溜まっているときや、急に走ったりしたときに、ふと目眩がしたりします。

多くの場合、糖質制限食に体が慣れてしまえば問題はなくなりますが、急激に糖質制限をすると、体が疲れやすくなったり、力が入らなくなったりといったことが起こり得ます。最初は1日1食の制限から始めて、問題がなさそうであれば徐々に制限を増やしていくのをおすすめします。

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