何を食べると太るのか?太りやすい体質を改善するための基礎知識。

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食品の中に含まれる成分の中でカロリーを持っているのは「たんぱく質」「炭水化物」「脂肪」の3つだけです。
これらを「三大栄養素」と呼び、それぞれ1グラム当たりのカロリーがたんぱく質と炭水化物は4キロカロリー、脂肪は9キロカロリーとなっています。この三大栄養素とダイエットとの関係性を知ることで、「何を食べると太るのか」といった太りやすい体質を改善するための、正しいダイエット方法の知識を身に付けることができます。そこでまずは、「たんぱく質」「炭水化物」「脂肪」はそれぞれどう「太りやすい」と関係しているの中を考えていきましょう。

「たんぱく質」は直接的な肥満の原因ではない!?

たんぱく質とはいったいどういったものなのでしょうか。たんぱく質とは、よくご存知の通り、お肉、お魚、卵の白身、豆類などの主成分で、食べた後、様々な消化酵素によって分解され、最後に「アミノ酸」となって吸収されます。自然界には多数のアミノ酸が存在していますが、人が必要としているアミノ酸は20種類で、そのうち9種類は体内で合成することができず、食品として必ず摂らなければならないものです。胃腸から吸収されたアミノ酸は、さまざまなたんぱく質を作る材料として利用され、体内で骨、筋肉、酵素などになっていきます。たんぱく質はたえず入れ替えが行われおり、その役割を終えると、ふたたびアミノ酸に分解され、細胞内に蓄積される、というサイクルを繰り返しているのです。ただし、そのために必要なアミノ酸は、トータル量がほぼ決まっていて、余った分は肝臓で分解され、アンモニアを経て、尿素という物質に変わり尿中に排出されます。
一部のアミノ酸は、ぶどう糖や脂肪に変わりますが、少なくとも直接的に肥満の原因となることはありません。
たんぱく質を摂りすぎると、余った分がどのように利用され、あるいは体外に排泄されるのか、その仕組み自体はまだ解明されていないようですが、たんぱく質を過剰にとった人を追跡調査し、健康状態を調べたという研究はたくさんあります。
その結果、骨から大切なカルシウムが抜けて尿中に排泄されてしまったり、乳がん、大腸がん、前立腺がんなどが増えてしまったりする、という深刻な事実があるようです。厚生労働省の指針によれば、一日に必要なたんぱく質は、男性で50~60グラム、女性で40~50グラムとされています。ここで抑えておきたいのは、たんぱく質は直接的な肥満の原因ではないということです。

「炭水化物」の摂りすぎが肥満の原因!?

続いて「炭水化物」とはどういうものなのかを考えていきましょう。炭水化物とは、ご飯、パン、麺類、スイーツ、砂糖などの主成分で、食べたあと消化酵素によって分解され、「ぶどう糖」などの糖分に変わります。先ほどの「たんぱく質」は「アミノ酸」に変換されると説明しましたが、「炭水化物」は「ぶどう糖」に変わるということを覚えておきましょう。これらは、筋肉を収縮させるエネルギー源として利用されるとともに、一部は遺伝子を構成するDNAやRNAの材料となります。さらに、利用されず残ったものの一部が鎖状につなげられ、肝臓や筋肉に貯蔵されるようになっているのです。これが「グリコーゲン」と呼ばれるもので、血液中のぶどう糖が足りなくなったときに再利用されます。

植物性の食品に含まれる炭水化物は、その半分以上がスターチ(でんぷん)と呼ばれるものですが、これもぶどう糖が鎖状につながってできています。植物性の食品には、もうひとつ、「セルロース」と呼ばれる炭水化物も含まれています。これは植物繊維のひとつで、やはりぶどう糖が鎖状につながったものですが、スターチと少しだけ異なっているのは、人は消化することができないということです。牛や羊などの反芻動物が草わらなどを栄養源にできるのは、セルロースを消化する酵素を持っているからです。つまり、炭水化物について覚えておきたいのは、余った分が体内で脂肪に変換されてしまうことです。そのため、炭水化物のとりすぎは肥満の重大な原因となってしまうということです。

やっぱり「脂肪」は太る原因?

そして、最後は「脂肪」についてです。たんぱく質が消化されるとアミノ酸になり、炭水化物が消化されるとぶどう糖になるというのはお分かりいただけたと思います。
では脂肪はどうなのでしょうか。脂肪は「脂肪酸」というものに変わります。脂肪酸の役割は主に2つあり、一つはたんぱく質と同様に細胞やホルモンなどの材料となること。2つ目は、炭水化物と同様にエネルギー源になるということです。
自然界には無数の種類がありますが、人の体内では「パルミチン酸」「オレイン酸」「リノール酸」の3つが中心で、これらのキーワードは、ダイエット法を正しく理解する上で欠かせない知識になるので覚えておきましょう。
脂肪酸は不安定で分解しやすいため、食品の中で「中性脂肪」と呼ばれています。食品の中の中性脂肪は、体内で消化酵素によって分解され、脂肪酸として吸収されたあと、腸の壁でふたたび中性脂肪になって血液中に運ばれていきます。この濃度を測ったものが、健康診断でよく耳にする「中性脂肪値」ということなのです。

では、先ほど説明した、「パルミチン酸」「オレイン酸」「リノール酸」とはどういうものなのかをみていきましょう。

パルミチン酸とは

脂肪酸の一つであるパルミチン酸は、「飽和脂肪酸」と呼ばれるもののひとつで、牛や豚などの食肉、とくに脂身に多く含まれています。血液中の悪玉コレステロールと善玉コレステロールの両方の値を高めるのですが、摂りすぎると「心筋梗塞」になりやすいと言われています。

オレイン酸とは

オレイン酸は、「一価不飽和脂肪酸」と呼ばれるもののひとつで、オリーブ油などの植物性オイルに多く含まれています。コレステロール値に影響を与えないことから、体に良い脂肪酸の代表的な存在です。

リノール酸とは

そして、3つ目の「リノール酸」は、「二価不飽和脂肪酸」のひとつで、植物オイル、豆類、鶏肉などに多く含まれています。これを摂りすぎると、悪玉コレステロールと善玉コレステロールの両方が下がるとされています。

つまり、「何を食べると太るのか?」という問題では、一般的には、肥満の原因として「脂肪」のほうに気を取られがちですが、私たち日本人の食生活を考えると、ご飯やパン、麺類、スイーツなどのが圧倒的に多いため、「炭水化物」のほうが肥満の原因になっている可能性が高いということです。必要なエネルギー消費量を超えて、過剰な炭水化物や脂肪を摂りすぎると肥満になりやすいということですね。炭水化物と脂肪の摂りすぎには注意したいところです。

消化の良い炭水化物ほど太りやすい

炭水化物は食べたあと、体内で「ぶどう糖」などの糖分に変わるということは理解できたと思います。炭水化物を多く含む食品を食べたあと、ぶどう糖に変わるまでの時間は、食材や調理方法によって大きく異なるのですが、最近の研究の中では、短時間にぶどう糖に変わりやすい食品ほど肥満になりやすく、さらに糖尿病にもなりやすい、ということ研究結果が出ているようです。つまり、同じ炭水化物でも、ゆっくりと「ぶどう糖」に変わる食品のほうが健康にはいいということなのです。

さらに、その違いを数字で表す方法があるんですね。それを「グリセミック指数」と呼ぶのですが、このグラセミックとは、「ぶどう糖の」という意味だそうです。実際には、炭水化物を食べたあと、血液中で2時間のうちにどれくらいのぶどう糖が測定されるかを数値化したもので、ぶどう糖そのものを食べたあとに得られる値を100とし、最小値をゼロとすることになっています。

例えば、ご飯とパン、ではどちらがグリセミック指数が高いかというと、「パン」の方がグリセミック数値は高いとことです。

食パンが75に対し、ご飯(こしひかりの場合)は48とされており、例えば同じカロリー分で比較すると、ご飯よりパンのほうが消化もよく、太りやすい、ということになります。他にもスイーツで比べると、おせんべいがなんと91、チョコレートはわずか40。つまり、炭水化物を含む食品でグリセミック指数が低いのは果物と乳製品ということなのです。これらの例からわかるのには、粉砕して高熱で長時間、調理をした食品や料理はどグリセミック指数が高いということ。つまり、缶詰やレトルト食品などはグリセミック指数が高いというものが多いようです。

同じ炭水化物を食べるのにも、グラセミック指数という観点から低い数値の食品を摂るように心がけるのも太りやすい体質改善の一つですね。
そのためには、なるべく手作りの料理を食べるようにした方が良いということです。

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